2012年6月25日

シリーズ「川沿いをゆく」江戸川・荒川

ひとけの多いところは好きじゃないので、いままで行くのを避け続けていた大御所CRの2路線が江戸川CRと荒川CRの都内区間。K氏とS氏が「走りに行く」というので、同行しようと考えたが、何とAM5:30出発とのこと。子供の頃から早起きは大の苦手なので、それを聞いた時点で“イチ抜けた”。

まあでも、行く気になったところで行ってしまった方がいいのは事実なので、休日の朝としては局限ともいえる8時起床で、彼等二人のルートを後追いすることにした。

自宅出発で距離を計算すると、なんと全行程250km。自分のペースと各所で費やす時間を考えると日帰りできないので、利根川から江戸川が分岐する五霞まで車で送ってもらい、江戸川を下り、行徳の新河口と葛西臨海公園の旧河口を訪ね、そこから荒川を遡上して戻ってきた。

五霞発09:30で、江戸川左岸(千葉側)を下り始めて、途中で右岸に渡った。千葉側は舗装が新しいので走りやすいが、埼玉・東京側は舗装が古く、路面は荒れている。それにしても河岸路に自転車や歩行者の絶えることがない。葛飾あたりでCRが右岸だけになると、雑踏となってイライラさせられた。新江戸川分岐からの道はCRというより、住宅街の路地。さらに顰蹙を買うのを承知で言えば、都内在住の人間には体力はあっても運動神経がない。駅の雑踏の複雑系よろしく、歩行者や他の自転車をタイミングよく見計らって躱すことがカラキシできない。

荒川河川敷に続く公園は、野球やサッカーに興ずる集団でごった返していた。実は都内には荒川サイクリングロードなんてものは存在しなかった。“緊急用の河川敷道路”を勝手にCR呼ばわりして、そこをガムシャラに飛ばしてゆくバカがいただけだった。埼玉の“荒川自転車専用道”と、板橋あたりのグチャグチャした一般路で無理矢理つなげて、イッショクタにしているだけ。

自転車に乗っている連中も、川沿いにバイクでタムロっていた集団も、なぜか中壮年ばかりで悲しかった。河岸の路上で子供を遊ばせている親にも周囲に対する配慮が全くない。なにせ身体より心が疲れた

都内でホッした気分を味わえたのは、海辺にいた束の間だけ。行徳では湾岸道路の橋脚の下で潮干狩りしている家族がいたり、葛西臨海公園では雑踏を離れ、海辺を散歩するカップルがいたり・・・。建築物と海や河川の織りなす対比も新鮮だった。頭上を交錯する高速道路、鉄道の高架橋、高層ビル、スカイツリー。

桶川あたりまで戻ってくると、ようやく視界から人が消え、「東京なんかに生まれなくて本当に良かった」と痛感した。夕暮れの吉見町では麦の収穫を終えた田んぼを一面、野焼きしていた。こうした風物詩ですら、「地球温暖化」とやらを口実に抹殺してゆこうとする、都会的・シーシェパード精神があり、それを全うな主張だと考えていると思うと泣けてくる。

自己の都合のため、結託し、時流に乗じた素振りで、他者に何かを強要する時、人間の理念は、猛獣の食欲よりもおぞましい。

残された田園風景を目に焼き付けておこうと思い、荒川右岸の川沿いを進めるところまで進んだ。

道は荒川大橋でとだえた。