夕立が通りすぎ、気温が下がると、ニイニイ蝉の大合唱の影で、マツムシが高い声で鳴き始めた。
あまりににぎやかなので、ワイングラスを片手に戸外へでてみた。
熱帯夜には夜でも蝉は鳴く。
そういえば、中国山地を走りながら、ひがな一日じゅう、クマゼミの声ばかりを聞いていた。
ウシウシウシ、と、関東の山中では、あまり聞くことのない鳴き声なので、なんだか、もう懐かしい。
・・・などと、他愛もないことを書いているうちに、気温が下がったのだろう・・・
みんなで一斉に唐突にデクレッシェンドして、鳴き止んだ。
蝉は鳴きやみ、秋の虫たちの、まだ遠慮がちな四重奏が、静寂の隙間を埋めてゆく。
ああ、心地よい眠気がやってきた。